日本に越してきて最初に気づくことのひとつは、「自分がいかに準備不足であるか」ではないでしょうか。まずはもちろん日本語に対して、あらゆる方向から絶え間なくやってくる言葉の波に対処しなければなりません。そして、「空気を読む」ということ。周囲の状況を瞬時に理解し、適切に対応すべきなのですが、即座に身につくものではありません。
新天地での戸惑いは、日常の場面でも、例えばテレビの前でくつろいでいるときにも感じるでしょう。時代劇の背景から、夕方のニュースでの首相の政府経費説明に至るまで、知識の穴があることを実感するのではないでしょうか。そんな皆さんに、2023年発行の拙著、『Into Japan: A Starter Kit for Understanding Japanese Society』をお薦めしたいと思います。
この本については、アメリカの『大統領の日』について考えていたときに着想を得ました。子供の頃、アメリカではジョージ・ワシントン大統領とエイブラハム・リンカーン大統領の誕生日が祝日としてまだ別々でした。そこで気付いたのは、米国に来て間もない人たちは、大統領の日やまた大統領という職そのもの、連邦政府の構造、その行政府が立法府や司法府とどのように連携して国民の意思を遂行するのかなどについて、文化的な知識を必ずしも持っているわけではないということでした。これは日本での私の状況そのものでしたが、周りの日本人は、日本社会についての基本的な理解、現在の状態に至る過程、それがどのように機能しているのかについてを、既得の知識としてすでに持ち合わせているのですそして考えました。「もし、私のような新参者に、日本人が高校の歴史や公民の授業で習って記憶に留めている事項と同じ情報を与えてくれる資料があったら?』と。
ここにご紹介しているのがまさしくその資料です。『Into Japan』の5つの章は、出身国にかかわらず、皆さんが日本の社会に参加するために必要な、基本的情報を、親しみやすい会話形式で提供しています。トピックは:
数千年前の最初の移住者の時代から始まり、現在に至るまでの日本の歴史
日本の近代憲法、その基本的な部分、そしてそれらがどのように国家を定義するか
この国の有形無形の象徴、またそれによって日本が自国と世界にとってどう定義されるか
日本政府の職務の遂行方法と住民の役割
日本経済、その資金はどこから来るのか、そして政府はその財源をどのよう分配するか
トピックは多岐にわたりますが、気後れする必要は全くありません。Owani Press出版社の「午後に理解」シリーズの一環として、この本は、4時間以内で、つまり1日の午後だけあれば読めるように、コンパクトに作られています。
日本に興味のある人なら誰でも、この魅力的な文化について新たな発見があるでしょう。もしあなたが日本在住の外国人の方で、特にこれから何年も日本で暮らすお考えなら、この本はまさしくあなたのために書かれたものです!
日本に住まう外国籍の方々にはただこの国を体験するだけではなく、居住者として、積極的かつ生産的な役割を果たしていただきたいと、強く願っています。『Into Japan』は皆さんに、文化的な常識を伝授し、現地の生活に現地の人々とともに充分に参加できる手助けをしてくれることでしょう。
本書はペーパーバックと電子書籍で、書店にて購入できます。詳しくは出版社のウェブサイトをご覧ください。あるいは、お気に入りのオンライン書店で扱いがあるか検索ください。
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